紀要など

柔道の青い道着は勝率を上げるか?
Natureに載ったという論文を否定するProceedings of the royal society B biological scienceの話。
2004年のオリンピックで青い柔道着の方が勝ちやすい傾向があり、これが白の方が動きが見やすいし、青の方が相手を威嚇する効果があるためだと主張するRowe et al.の論文を、

  1. シード選手には青い道着が与えられる傾向があったこと
  2. それまでの試合の勝敗によって道着の色が決まっていたこと
  3. 試合間の回復時間が異なっていたこと

というバイアスから間違った結論を導いていたとして、解析しなおし、更に他の大会の結果も解析して青=勝ちやすいという傾向がないことを示した。
確かに、青い色はあまり攻撃的でないような気がします。
ディスカッションで赤と黒について触れていましたが、これもどうでしょうか?
スポーツのユニフォームの色は考え直す必要があるかもしれませんな。



甲虫群集への大規模なエッジ効果
今週のPNAS。
分断化されたパッチではエッジが増えることでパッチ内部への影響が増し、面積だけでない効果によってコアエリアのような環境を好む種が減少などの影響を受けることが知られていますが、これがどれほどのスケールで影響を受けているかニュージーランドの甲虫群集をもちいて調べたもの。
エッジから森林内部へ1024m、マトリックスの草地へ1024mのトランセクトを7つ取って769種の甲虫を26,000個体ほど取ったのらしい。
環境要因とは別に、おそらく生物間相互作用によって森林内部へ1km以上のエッジ効果(森林性の種の減少、β多様性といった指標が森の深部の値と異なる)がありそう。
1km以上の大スケールでのエッジ効果があるということは、コリドーの効果があまりなく、世界の森林保全地域の3/4がエッジ効果の影響が大きく受けうることを示していますが、以前の魚の話同様、一般化するにはデータとして少し薄いような・・・