論文

集合行動と進化的自殺

前回の記事から一年経ってしまいました。 今日は集合行動が進化することで個体群動態が変化し、最終的に絶滅に至るという理論の論文。 集合行動は生物に広く見られる現象ですが、今回はフェロモンなどで仲間を呼ぶ昆虫を考えます。 離散世代のモデルにおいて…

一週間

過ぎるのが速いです。 今週は授業の第一回。 火曜日は先生のレクチャー。なかなか英語が早口で、しかも初めて聴く話が多いのでついていくのが大変でした。植物生理生態学と窒素循環。 木曜日は課題論文を読んできてディスカッション。 火曜日の先生の研究室…

Nature

出てました。 こちら。 おもしろかったです。 本当におめでとうございました。 それから、ESAの口頭発表がacceptされたとのメールが。 参加登録と、ピッツバーグの宿舎も取らなくてはいけません。 Evolutionの方は参加申し込みの締め切りが19日から26日まで…

初めてのリジェクト

されました。 結局4日程でエディターから返信が来ましたが、内容も読んでくれたようなので仕方ないか。 次の雑誌にさくさく投稿したいところです。 論文2本目は英文校閲へ旅立ちました。 いろいろな方に聞いてみた結果、生態のヒトが多く使っていそうなtextc…

初めての投稿

を、しました。 まずはeditor rejectを免れられるか… それから、申請していたビザが届きました。 思ったよりも早い。 これで無事アメリカに行けそうです。

JC1/20

メモ。 Natureは、巻き貝の巻き方向を変える方法。 8細胞期にガラス棒でつっついて、らせん卵割の方向を変えると、右巻きが左巻きに、左巻きが右巻きになるらしい。相変わらず巻き方向を決める遺伝子は謎。 Scienceは、アジアの人種の多様性。 たくさんSNPを…

風邪ひいた。

JC、今回は2つだけ。 うなぎのバイオロギングとイヌの毛のassociation mapping。 以下うろ覚えの内容。 イギリスからサルガッソー海まで産卵に行く鰻にロガーを付けたら、意外と遅かった。また、夜は海面近くに昇り、昼は底に潜る傾向があった。遅いのは海流…

集団遺伝学の統計的推定

とある総説に、David Baldingの解説のURLが載っていた。 こちら(psファイル)。 S(R)のコードで例が書いてあるし、近似尤度、特にrejection samplingやimportance sampling(IS)、MCMCの解説が書いてあるので、かなり参考になりそう。 ところで、Felsens…

JC

Natureは、遺伝的性決定が絶滅海棲爬虫類の適応放散を可能にしたという話。「遺伝的性決定か、温度による性決定か」という形質は化石に残らないが、「胎生か卵生か」という形質との相関を考えると予測が可能になる(らしい)。現生の生物で相関をモデリング…

JC

今日はジャーナルクラブでした。 ScienceのArticle。トウモロコシの開花時間を決めるのは、大きな効果を持つ少数の遺伝子ではなく、小さな効果を持つ多数の遺伝子という話。これはむしろヒトの身長を決める遺伝子なんかに近い。自殖するシロイヌナズナやイネ…

ストイキ復習

今回のレクチャーで出た課題の分。 Elser et al. (2006) Early Cambrian food webs on a trophic knife-edge? A hypothesis and preliminary data from a modern stromatolite-based ecosystem. Ecol Lett 「カンブリア期の爆発的な進化の背景には、生態系中…

選択を含む合祖シミュレーション

今日の論文はこちら。 よく使われるcoalescentシミュレーションのソフト「ms」は、さまざまな集団サイズの変化・突然変異率・組み換え率等を指定できてたいへん便利なんですが、中立なモデルしかできない。ということで、demographyと選択を同時に組み込んだ…

カタツムリの巻き方向を変える要因

1996年のHeredity。 左巻きのカタツムリが右巻きのカタツムリ集団に侵入するのは、それはもう大変なことです。そこで、侵入する際に手助けになる要因をピックアップして、モンテカルロシミュレーションでその効果を試してみました。要因は以下の6つ。 集団の…

右利きのカニと左巻きの貝

2006年のBiology Letters。 カラッパというカニは右手に缶切りのような突起を持ち、右巻きの巻き貝の殻を皮を剥くように取り除いて食べるそうです。食べられた貝はこんな感じ。 海産のカタツムリ(whelk)・イモガイそれぞれの右巻き・左巻きの化石を調べて…

韋駄天蛙/魚の視覚と遺伝子重複

2006年のNature。この頃はNatureにもBrief Communicationsというカテゴリーがあったんですね。 70年程前、オーストラリアに害虫駆除のために導入されたオオヒキガエルは、体重2kgまでに達し毒を持つうえ、侵略的な生物であるため「生態学的悪夢」となってお…

馬の毛色の変化/富栄養化と草本群落と光

4月24日のScience。 さまざまな時代・場所の馬の骨から得た核の古代DNA(ancient DNA)を解読することで、馬の毛色が家畜化と関連してどのように変化してきたのか調べた論文。 この解析によるとそもそも馬には鹿毛しかいなかったらしい。家畜化に先立って、…

適応放散が生態系機能に影響する

GW中は流石に学校全体が静かです。 先週のNature。 カナダの湖に生息するトゲウオには祖先的なジェネラリストと派生的なスペシャリストの底生種・沖帯域種が存在する。適応放散・種分化が生態系機能へ及ぼす影響を調べるため、初期条件とトゲウオのバイオマ…

同期の脅威

どんどん論文を出されると、こちらとしては立つ瀬がありません。こないだもTrends inに出していたし… 今週のPNAS。 Piwi-interacting RNA(piRNA)という小さなノンコーディングRNAは、哺乳類においてトランスポゾンのサイレンシングに関わっていると考えら…

母さん、僕のあの論文どうしたでせうね

ということで、寝かせ続けてきたHC論文を再解析中。 去年に仕事しなかった報いを受けております。 ナズナの一種であるCapsellaの自殖の進化を調べた2本のPNASの論文。Wrightのグループの論文は、核DNAの塩基配列を読んで過去の人口動態を推定し、種分化の時…

群集構成の必然性

やっぱり未だ見ぬ明日に、良いです。 そして鴨川ホルモーが読みたい今日この頃。 ハワイで適応放散したアシナガグモについて調べた2004年のScience。 このクモにはそれぞれニッチが異なる4つの生態型(緑色型・栗色型・大茶色型・小茶色型)が存在する。各島…

頻度・密度依存選択と個体群動態

今日は昼間から研究室の花見でした。満開から散り始めたあたり。 明日は入学式。 2000年のNature。 トカゲの個体群動態を10年に渡って調べた労作。 この個体群は個体数が2年周期で振動しており、高密度の年には喉が黄色のタイプ(K型)が少数で大型の子供を…

北米オオカミの黒い毛色はイヌとの交雑によってもたらされた

先月のScience。 北米のオオカミは、北のツンドラ地帯では白い毛色が、南の森林地帯では黒い毛色が多い。 これは自然選択によるものと考えられているが、遺伝的な基盤はわかっていなかった。 体色に影響すると考えられるAgouti、Mc1r、K遺伝子座の3つの候補…

種の均一性により機能が維持される

最近のNature。 複数種の脱窒菌をマイクロコズムに入れ、ストレス環境下(低温、塩分)とコントロールの3状態でその機能(脱窒)を測った。 その際、初期状態の種の均一性(相対的なabundance)を変化させて、単一種が優占しているマイクロコズム、どの種も…

今週のJC

年度が新しくなって、3年生になりました。 Natureは、酵母の集団ゲノムデータ。 Scienceは、シロアリ女王のクローン生殖。 PNASは哺乳類の新種の話。 MBEは複雑なdemographyがわかっている時の自然選択の検出(トランスポゾン)。 PLoS GeneticsはS遺伝子座…

巨大ヘビ

今週のNatureに載ってました。 体長13メートル、体重1135キロのヘビの化石が見つかったようです。 このことから、過去の地球は現在よりも暑かったことがわかるんだとか。 ということは将来、温暖化が激しくなったら、学校のまわりにいるアオダイショウも巨大…

また。

Mol Ecolの論文。 多くの実証研究が、複数ある分集団のそれぞれの生息地の環境(in situ)で育った個体の表現型からQSTを計算している。 このようなQSTは環境と遺伝子型の相互作用(表現型可塑性)の影響を受けている(PSTと呼ばれる)。 というか、そもそも…

蚊の寿命を縮めるWolbachia感染

先日、京都から帰ってきました。 分子生物学も数学もやっておらず、「システム生物学って何?」という状態で参加した研究集会でしたが、なかなか刺激的でした。 しかし、朝9時半から夜9時過ぎまでの講義とディスカッションを毎日行うことはかなりハード… 生…

集合する藻

先日読んでいた魚と人の本で紹介されていたもの。 Boraas et al. (1998) Phagotrophy by a flagellate selects for colonial prey: A possible origin of multicellularity. Evol Ecol 12: 153-164 鞭毛虫(捕食者)とクロレラ(被食者)を同時に培養すると…

今日の論文

レポート書くために読みました。 Curr Biol。 乳糖不耐症の遺伝子は家畜化と同時期に正の選択を受けたことまでわかったのに、倹約遺伝子の方は… という状況なので、倹約遺伝子なんて無いんじゃない?という内容。 Extended haplotype homozygosity (EEH) ana…

本郷→渋谷

という感じの日でした。 最近は自分の不勉強さを実感させられることが多いです。 それから、最近はお酒に弱くなってきたような気がします。 これは普段の飲酒量の減少と関係があるんでしょうか? 飲酒量と言えば、今日こんな論文の存在を教えていただきまし…