JC1/20

メモ。
Natureは、巻き貝の巻き方向を変える方法
8細胞期にガラス棒でつっついて、らせん卵割の方向を変えると、右巻きが左巻きに、左巻きが右巻きになるらしい。相変わらず巻き方向を決める遺伝子は謎。
Scienceは、アジアの人種の多様性
たくさんSNPを集めて解析したら、言語と遺伝関係は相関しているとか、東南アジアが多様性が高く、北へ行く程多様性が低いため、アジアへの移入が一回で起きた説を支持するとか。
それから、S.B.Carrollのショウジョウバエ
ウガンダの標高に局所適応した黒化型の遺伝的基盤を調べると、ebonyの(またしても)シス領域の、効果の大きさが異なる複数の変異が関わってそうで、周囲の集団の変異も調べると、もともとあった変異(standing genetic variation)と新しく生じた変異の両方が貢献していそう。
それにしても形態形質にシスが効いているというのは、HoekstraとCoyneがEvolutionで批判していたけど、その後どうなったんだろうか。
性選択とecological speciation。局所適応によって生態的種分化が起きるときも、交雑によって阻害される。そこでassortative matingを考えるんだけど、従来のFisher的な魅力のみを反映した装飾ではちょっと無理がある。むしろ、局所適応できている個体が条件に応じて発現する形質でオスを選ぶとしてモデルを構築すると、種分化が起きる。
隠蔽ではなく、擬態
「小枝」という存在を見たことのあるニワトリと見たことのないニワトリでは、小枝に「擬態」しているガの幼虫への反応が全く異なり、これが擬態の検証になる。
Current Biologyでは、島のヘビの遺伝的同化
Genetic assimilationの例として、本土から島に進出したヘビの局所個体群を比較している。まず、基本的に島にいるヘビは餌の関係で本土よりも頭が大きくなるらしい。で、島に進出してからたいして時間のたっていない個体群とかなり時間のたった個体群を比較すると、日の浅い個体群は産まれた時は頭が小さく、成長する中で大きくなる(表現型可塑性)。既に島で長い個体群は産まれた時から頭が大きく、成長する中でそれほど大きくならない(可塑性の喪失)。なんか、Waddingtonに合わせて話が出来過ぎている感があるが。
もう一つは、迅速な種分化
ヨーロッパでは、新しい越冬地が出来たことで渡り鳥に30世代程度で同所的種分化が起きているが(Berthold et al. 1995Bearhop et al. 2005)、中立な遺伝子座も分化してきており、形態的にも変化が起きているという話。
ちなみに、北西の越冬地に向かう個体と南西に向かう個体を掛け合わせると、中間の方向(西)に向かって飛ぶ個体が産まれるらしい。