サル学の“ちょっと過去”

サル学の現在 下 (文春文庫)

サル学の現在 下 (文春文庫)

この本の上巻を読み終わったのは、今年の3月だった。インドにいたときだ。
ジャイプルからバラーナスへ向かう夜行列車の中で読んでいると、隣の席に座っていた仲良くなったドイツ人が表紙を見て、こう言った。


Is she your Japanese girlfriend?(笑)
サル学の現在 上 (文春文庫)



そりゃ確かにニホンザルだけど…。もちろん、No, she(he?) is not.って答えました(笑)
それから半年、古本屋を探してやっと下巻を見つけたので、気になっていた後半を読むことができた。サル学の意義について、ちょっと引用してみると、

ヒトと動物とはどこで区別されるのか。何が人間的で、何が動物的なのか。ヒトがサルから進化したということはどういうのか。
このような問いに答えようと思ったら、ヒトはサルに学ぶしかないのである。

ということらしい。霊長類研究所などの国内研究者へのインタビューと、その解説で構成されている。行動・社会の観察や、化石の発掘、分子生物学的な解析など、様々な手法で世界をリードするような研究が日本で盛んに行われているのに驚いた。
特に、社会の進化に関する理論は、昆虫や鳥に対する社会生物学的なアプローチとは全く違っていて新鮮で、人類学にも興味が湧いてきた。銃・病原菌・鉄も読みたいな〜。

内容がちょっと古いから、霊長類学の最近を知るには霊長類学のすすめ (京大人気講義シリーズ)の方がいいかと思う。ただ、立花せんせいが専門家にいろいろ質問するからわかりやすいという面も確かにある。日本でも、専門外の人が読みやすくて質の高い科学読み物がもっと出てくればいいのに。

でもせんせい、カタカナ語多すぎです。リダンダンシー」を注なしで使うのは勘弁してください…(笑)