春だ

家から駅までの道々で、春を感じる。
部屋の窓から見えるケヤキは新緑を身にまとい始めている。
家を出て、交差点の脇のビルの一階には駐車場がある。ここで毎年ヒナを育てているツバメ夫婦が今年も渡ってきていて、巣が残っていることに安堵しているようにも見える。
交差点を渡って商店を過ぎれば、大きな公園がある。サクラが散ってしまって、そこを流れる小川の水面は薄紅色の花びらでびっしりと埋め尽くされている。枝にはどこから現れたか、たくさんのメジロがまだ残っている花に嘴をつっこんでは蜜を夢中で探している。新芽が吹いたウメの枝の間からはシジュウカラの声が響いている。
公園を抜ければ、裏路地に出る。道に面した民家のカキの木では、秋にたわわに実った柿の実が冬中かけてヒヨドリムクドリに食べつくされ、ヘタだけが残った枝からぶっきらぼうな新芽がのぞいている。
道を抜ければ店先に芽が出たグミの植木がある通りを経て、駅へとたどり着く。



やっぱりうちの地元、田舎だなぁ。