馬の毛色の変化/富栄養化と草本群落と光

4月24日のScience
さまざまな時代・場所の馬の骨から得た核の古代DNA(ancient DNA)を解読することで、馬の毛色が家畜化と関連してどのように変化してきたのか調べた論文。
この解析によるとそもそも馬には鹿毛しかいなかったらしい。家畜化に先立って、森林の増加とともに黒毛が増えていたというのは興味深い。以前紹介したオオカミの毛色と同様、森林環境では黒い毛色が好まれるのかもしれない。今から5000年前、さまざまな毛色が現れた時期に家畜化が起きたと推測される。毛色に関わっている8つの遺伝子座のうち、2つから選択を受けた痕跡が検出された。


5月1日のScience
富栄養化が種多様性の減少を引き起こすメカニズムを調べることは難しい。著者らは、草原で富栄養化により上層の草本が茂り、下層に届く光が減少することで多様性が減るのではないかと考えた。で、肥料を与えた状態で蛍光灯を下層にのみ当ててみると、多様性は減少しなかった。これは、種のターンオーバー(ある種が絶滅する一方でシードバンクから新しい種が供給される)において、光がないと新しい種がシードバンクから供給されなくなることによる。蛍光灯の光を当てると実生の死亡率が減少した。地下での競争がないか確かめるため、実生の根をチューブに入れてみても死亡率は変わらなかった。そのため、光を巡る競争がもっとも重要と思われる。