遅ればせながら、

オレゴン州ポートランドで開催された、Evolution2010に行ってきました。2008年のSMBEに続き、二度目の国際学会参加。詳細はハワイのSGURさんのブログを読んでいただくことにして、個人的な感想を。

  • 要旨の提出がない

SMBEでは要旨を提出して査読(?)されることで、口頭発表できるかどうか決まるんですが、Evolutionは要旨提出がない。したがって、口頭発表の敷居も若干低いようです。口頭発表の数自体が多いようですし、preliminaryな段階での院生の発表もありました。

  • ご飯が出る

Banquetには申し込んでなかったのですが、それを抜きにしてもご飯出ました。発表の間の休み時間に軽いお菓子や果物、ポスター発表の時間にはご飯とビールなど。あと、動物園へのピクニックがあって、音楽を聞きながら夕ご飯、という趣でした。さらに、昼間のランチタイムワークショップに出たら、ピザが出ました。参加費が高い理由の一つはこれでしょうか。あと、Evolutionトートバッグももらえます。

  • ランチタイムワークショップ

"How to get a job in Academia"というのに出ました。「求職する時はFacebookに載せてある、ビーチに寝そべっている写真は消すように」とのこと。

  • Presidential address

学会長の講演があるのが新鮮でした。重鎮が喋るという点では、日本だったら学会賞講演に当たるのでしょうか。3学会合同の大会なので、presidential addressも3つ。Lososの系統樹に基づく祖先形質推定などの問題点の指摘、Orrのなぜ進化学は(物理学に比べて)革新的な議論が生まれにくいのか、という考察を聞きました。Orrの奥さんは理論物理学者だそうで。もう一個のベイズ系統樹推定はパスしました…

  • いろんな人に会えた

日本の方たちと久しぶりに会えて楽しかったです。アメリカに留学している日本人院生の方も何人かいました。日本人は全部で10人くらい? それから、以前日本に来たKondrashovやMarc Johnson、昨年スイスの夏の学校であった院生の友人にも。また、研究の興味が近い院生やポスドク、Reznick・Orr・Losos・Whitlockと話せたのが良かったです。忙しそうだったけど。

グールド賞はSean Carroll。この人は第一線で研究を行いつつサイエンスコミュニケーションもやってのける。人々の興味を引くには、ストーリーが大事だということで、Wallace の標本が燃えちゃった可哀想な話など。
ドブジャンスキー賞はFyodor Kondrashov。先月Natureに出た、タンパク質宇宙が広がって行く話
ASN Young Investigator Symposiumは、宮地賞受賞講演的なもの。こちらに受賞者が載っていました。僕が聞いたのは、有性生殖と植食者の話と、分散と攻撃的な性格の話。プレゼンが上手かったです。

  • 一日中英語の講演を聞いていると疲れる

全部の時間に聞きたい講演を詰め込もうとしすぎたきらいもありますが、きっと慣れの問題だと思います。普段イサカで生活している時よりも英語を使う機会が多かったです。

  • ベッドの数は大事

大事です。


自分の発表は、昨年共同研究者の方がこの学会で発表したことと、Carrollが記事に取り上げたことで人口に膾炙したらしく、いろいろな人に聞いてもらえました。ポスターにしては内容が多すぎると言われましたが…
ポスドク先を探すという隠れた目的もあったのですが、それは、まぁ、おいおいということで。
参加人数は2000人弱という噂ですが、系統から行動生態、ゲノム解析まで、多様なテーマがごっちゃになっているので、自分の興味の近い分野はそれほど多くないかも。一つの学会で多様なテーマが聞けるという点では効率がいいですね。



右のガラスの建物が学会のあった会議場。左の橋は船が通ると、下部だけ持ち上がる仕組み。川にはシジュウカラガンが群れてました。


次回は、ポートランド後のベイエリアそぞろ歩きです。