メスの多回交尾の進化

ScienceのREPORTSより。
ショウジョウバエの実験進化。
Drosophila pseudoobscuraでは、利己的な遺伝因子が存在する。
これはメスには影響を及ぼさないが、オスではY染色体を含む精子を壊してしまう。
そのため、この遺伝因子を含む集団では性比がメスに偏る。
この集団中では、メスは精子競争を促進させ、遺伝因子を持つオスが父親となる機会を減らすため、より多くのオスと交尾しようとするはずである。
遺伝因子を含みオスとメスの性比を1:2にした集団、遺伝因子を含まない性比が等しい集団、遺伝因子を含まず性比が1:2の集団の3つを10世代飼育した後、メスの再交尾の頻度・再交尾までの時間を調べた。
その結果、遺伝因子を含む集団のみで再交尾の頻度が増加し、再交尾までの時間が減少していることがわかった。
著者らは、

  1. オスの効果ではない。再交尾の結果は、遺伝因子を持たず選択もかけていない試験用のオスで測定されたため。
  2. 遺伝因子がメスで発現した結果ではない。遺伝因子の集団中の頻度は5%未満。
  3. 近交弱勢を避けるためではない。個体数は十分多い。

として、もともと存在した集団中の変異から再交尾をするメスの頻度が増加して起きた進化だとしている。



最近、Drosophilaと書いてある論文を見ると、Daphniaだと勘違してダウンロードしてしまうことが多くなりました…