北米オオカミの黒い毛色はイヌとの交雑によってもたらされた

先月のScience
北米のオオカミは、北のツンドラ地帯では白い毛色が、南の森林地帯では黒い毛色が多い。
これは自然選択によるものと考えられているが、遺伝的な基盤はわかっていなかった。
体色に影響すると考えられるAgouti、Mc1r、K遺伝子座の3つの候補遺伝子を調べることにより、オオカミの黒い毛色がK遺伝子座の変異に由来していること、その領域の周辺に正の選択を受けた痕跡があることがわかった。
更に、家畜化されたイヌ、近縁種のコヨーテなどの同じ遺伝子座を比較してみると、おそらくイヌとの交雑によって黒毛がオオカミにもたらされたと推測される。
今後温暖化に伴ってツンドラ地帯は縮小し、黒い個体の適応度が高くなると考えられるが、このような有利な変異が家畜化された近縁種からもたらされたというのは何とも皮肉なことですね、と締めくくられている。