韋駄天蛙/魚の視覚と遺伝子重複

2006年のNature。この頃はNatureにもBrief Communicationsというカテゴリーがあったんですね。
70年程前、オーストラリアに害虫駆除のために導入されたオオヒキガエルは、体重2kgまでに達し毒を持つうえ、侵略的な生物であるため「生態学的悪夢」となっております(もちろんIUCNの選んだ世界の外来侵入種ワースト100種にも選ばれている)。日本では小笠原や南西諸島に入っています。
僕が小笠原で見かけたのはこんなん。


後肢が長いほど移動速度が速く、分布中心よりも分布周辺部の方が後肢が長い。また、導入から徐々に分布拡大速度が大きくなっているため、比較的短い時間スケールで足が速くなる進化が起きていると考えられる。



今月のTrends in Genetics
オプシン遺伝子は色覚に大きな影響を与える遺伝子で、吸収波長に応じて4つの遺伝子(SWS1・SWS2・RH2・LWS、それぞれ紫外・青・緑・赤ー緑に対応)に分けられる。で、これが遺伝子重複したりして機能が変化する際、もっとも短い波長と長い波長に対応するSWS1とLWS(境界波遺伝子)は可視光域を広げる必要はないため変化しないが、SWS2とRH2(中間波遺伝子)はより細かく色を判別できるように変化するのではと考え、魚類で仮説を検証した。すると、境界波遺伝子よりも中間波遺伝子でたくさん遺伝子が重複して、オプシン遺伝子にアミノ酸配列を変化させる進化が起きていた。この進化は性選択などとも関連しているかもしれない。